信楽焼浴槽の魅力を探る。エクステリア×信楽焼で感じた「ものづくりの現場」

信楽焼浴槽の魅力を探る

信楽焼って聞いたことはあるけど、他のやきものとの違いは何か?と聞かれると、なかなかすんなりと答えられる方は少ないんじゃないでしょうか?

今回から始まる信楽焼プロジェクトでは、信楽焼×エクステリアをテーマに、信楽焼の魅力を現地取材を交えながらお伝えしていきます。

第一回目となる今回は、信楽焼浴槽について取り上げます。

■本記事はこんな方におすすめ
・信楽焼でできた一点ものの作品を生活に取り入れたい方
・提案の幅を広げたい法人の方
・信楽焼浴槽をどこで購入できるかお探しの方
信楽の町で感じた「ものづくり」の空気

まず訪れたのは滋賀県甲賀市信楽町。町の中心には、信楽焼の代名詞ともいえる「たぬきの置物」を取り扱う陶器店が点在し、どこか時間がゆっくり流れているような空気感があります。

午前中に立ち寄った信楽焼ミュージアムでは、鎌倉時代から現代までの信楽焼作品が幅広く展示されており、焼き物の変遷を一望できました。

信楽焼=たぬきという印象を持つ方も多いと思いますが、この信楽たぬきのイメージを全国に定着させたのは昭和天皇だそうです。

なんでも、昭和天皇が視察に行幸された際、日の丸の旗を持つ信楽焼のたぬきたちがずらりと並んでお出迎えしたのだとか。
その光景を気に入られた昭和天皇が、詩にたぬきのことを詠まれたことをきっかけに、信楽焼の名が全国に知られるようになったといいます。

「信楽は形あるものはなんでも作る」と形容される信楽焼。

焼き物というと器や花瓶のイメージが強いですが、信楽では直径1mを超える甕(かめ)や浴槽まで、すべて粘土から手作業で成形されています。

信楽で採取される陶土は、かつてこの地が琵琶湖の湖底だったこともあり、大型のものや変形したものを作るのに適した成分を含んでいるそうです。

そういえば、車を走らせていると、2階建ての家を超えるような巨大なたぬきの置物をあちこちで見かけました。
あれも、信楽焼ならではの技術があるからこそできることなんですね。

土から生まれる「信楽焼浴槽」の工程を見て

館内の映像コーナーでは、大物づくりの工程を紹介するビデオが流れていました。(撮影NGでした?)

信楽焼浴槽は主に「ろくろ成形」と「手びねり成形」という2つの技法で製作されます。

ろくろ成形は、大物ほど遠心力がかかるため、それに負けないよう荒ごてを当てながら成形する高度な技術が必要です。

また「椀継ぎ」という技法で、浴槽の上部と下部を別々に作り、乾燥後にドッキングさせます。
この手法は、大物づくりを得意とする信楽焼ならではのもの。

難しいのは、どちらも「土」でできているため、乾燥時の収縮を正確に計算して作らなければならない点。
まさに、職人の確かな技術が試される工程です。

一方の手びねり成形は、楕円形など、ろくろでは成形できない浴槽を作る際に用いられます。
粘土をひも状に重ね、塗りつけ、全体の厚みをそろえて形を整えていく手法です。
指で押して模様をつけていくことで、素朴で温かみのある表情が生まれます。

大型作品になると、成形中の乾燥具合の管理も重要になります。
徹底した湿度管理のもとで製作が進められます。

成形ができたら、大型ガス窯で約1週間じっくりと焼き上げて完成。
この焼成(しょうせい)には約1,200℃の高温が必要で、土の中の鉄分や灰が反応し、深みのある色合いを生み出します。

この「焼き色」は再現が難しく、同じ職人が同じ土で焼いても、二つと同じ色にはなりません。
つまり、信楽焼浴槽はすべて一点もの。世界にひとつしかない浴槽なのです。

滋賀県立陶芸の森で見た「信楽焼の今」

午後は滋賀県立陶芸の森を訪問しました。

こちらの信楽産業展示館では、産業としての信楽焼の「今」を発信することを目的に、さまざまな種類の信楽焼製品が展示されています。

たぬきの置物を表札風にアレンジした作品や、忍者姿のたぬき、アニメキャラクターのような可愛らしいデザインまで、従来のイメージから進化した作品が数多く並んでいました。

また、先ほど紹介した浴槽も複数展示されていました。
釉薬の流れ方や表面のテクスチャーが光の加減で変わり、それぞれに個性が感じられます。

「浴槽」と聞くと実用品を想像しがちですが、信楽焼の浴槽は機能性に加えて美しさも兼ね備えたインテリア。
自然素材が持つやわらかい表情と、炎が生み出す力強さ—その両方が調和しているのが、信楽焼浴槽の魅力だと感じました。

気になっていた「お湯の排水」はどうするのか?という点も、実物を見てすぐに解決。
排水用の穴とゴム栓がしっかり備わっており、しかもチェーン付き。
粋な吐水口と組み合わせれば、雰囲気のある露天風呂がつくれそうです。

また、実物展示ならではの体験として、浴槽に触れてみるとしっとりとした質感が心地よく、厚みのあるフチからは手づくりの確かな力強さが伝わってきました。

「信楽焼の浴槽ってどんな感じなのかな?」と気になる方は、陶芸の森を訪れて実物をご覧になるのがおすすめです。

職人の仕事場を少しだけのぞいて

途中、少しだけ窯元にも立ち寄らせていただきました。

実際の工房では、粘土の調合から焼き上がりまで、すべての工程に職人の手が入っています。

一日では完成しない大物の製作。
「この工程の写真が撮りたいなら、指定したタイミングで来てくれないと無理やで。」

短い言葉ながらも、「本物の技術を持つ人が、本物を作っている」という確かな誇りが感じられました。

詳しいお話は、次回の記事でご紹介させていただきます。

まとめ:信楽焼浴槽は「使う人と一緒に育つ器」

今回、ミュージアムや陶芸の森で信楽焼を改めて見て感じたのは、この焼き物が「人と時間の中で育つ素材」だということ。

焼き上げた瞬間が完成ではなく、使い続けるうちにツヤや色合いが変わり、年月を重ねるほどに味わいが増していく。
まるで木や革のように、暮らしの中で経年変化を楽しめる浴槽です。

そして、この「育つ素材」という考え方は、エクステリアともとても相性がいいと感じました。
木や石、植栽と同じように、信楽焼の浴槽も自然と共に呼吸する素材。
屋外に設けた露天風呂では、風景に溶け込みながら年月とともに深みを増していきます。

「癒しの器」としてだけでなく、外の空間に静かな存在感を添えるエクステリアの一部としての信楽焼浴槽。
見た目の美しさに加え、自然と暮らす時間そのものを豊かにしてくれる—そんな印象を受けました。

次回は、実際に職人さんの現場を訪れ、製造工程に関する話題などを取り上げていきます。
釉薬の世界は奥が深く、「信楽焼浴槽がどうやって生まれるのか?」その裏側を少しずつ掘り下げていきます。

信楽焼の浴槽は、工業製品ではなく工芸品。
その唯一無二の表情に、心まで温まる時間が宿っています。

今回ご紹介した「信楽焼 陶器浴槽」はこちら

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