信楽焼のたぬきとは?意味や魅力を信楽で実際に見てきました。
信楽焼といえば「狸の置き物」。
観光地や飲食店の入口などで一度は見たことがある方も多いと思いますが、実際にどのように作られているのか、どんな意味があるのかまで知っている方は意外と少ないかもしれません。
今回は、信楽で陶磁器の卸やOEM製品の開発、輸出入などを行っている株式会社陶里(とうり)の小西社長に、狸の焼き物についてお話を伺いました。
・信楽焼のたぬきの置物の意味を知りたい方
・玄関や店舗に狸を置こうか検討している方
・信楽焼の製造背景や特徴に興味がある方
信楽焼の狸は今、需要が供給を上回っている
滋賀県の信楽町に会社を構える株式会社陶里の小西社長にお話しを伺いました。
信楽焼の狸といえば昔からある定番の置物というイメージですが、現在は少し状況が変わってきているそうです。
小西社長のお話によると、現在は需要に対して供給が追いついていない状態とのこと。
理由としては、狸の製造ができる窯元が減っていることに加え、インバウンド需要の影響も大きいようです。
特に海外からの来訪者にとっては持ち帰りやすいサイズの需要が高く、小さいサイズの引き合いが増えているとのこと。
一方で、製造工程は手作業の部分が多く、急な増産が難しいため、現在は需要に対して供給が追いついていない状況が続いているようです。
以前は、窯出しされた狸を仕入れる際に「誰がどれを買うか」を決めるために、買い手同士で取り合いになることもあり、中にはじゃんけんで決めていた時期もあったそうです。(今はさすがにじゃんけんではないそうですが…笑)
それくらい、人気のある商品なんですよね。
陶里さんの倉庫前にて。数多くの商品が出荷を待っていました。
狸の置物はなぜ縁起物なのか
信楽焼の狸には「商売繁盛のご利益がある」と言われています。
これは「八相縁喜(はっそうえんぎ)」という考え方に由来しています。
笠や徳利、金袋など、狸が身につけているそれぞれの要素に意味があり、すべてが縁起の良い象徴とされています。

実際に話を聞いてみると、ただの置物ではなく、しっかりと意味が込められていることが分かります。
信楽焼の狸の製造方法は大きく3種類
狸の焼き物の製造方法は、主に3つあるとのことです。
完全な手作り
一つ一つ手で作る方法。当然ながら時間がかかります。
型押し(型成型)
型に粘土を貼り付けていく手法で、形を整えながら成形していきます。
鋳込み(いこみ)
型に泥を流し込み、粘土状にして成形する方法。一定の品質で量産が可能です。
ただし、「型を使っているから全部同じ」というわけではありません。
実際には
- バリ取り
- 釉薬掛け(顔や通い帳、徳利などは筆塗り)
- 釉薬の吹き付け(傘やボディ、腹などパーツごとに色分け)
- 表情の調整
など、最終的な仕上げは手作業で行われています。
特に印象的だったのが小西社長の「目が命」という言葉。
目の仕上がりによって、狸の表情や雰囲気が大きく変わるため、ここは非常に重要な工程とのことでした。
目のあるものは目が「命」で、仕上がりに直結するとのこと。
ちなみに、大きなサイズの鋳込みはかなり難しく、相当なノウハウが必要だそうです。
この手作りと鋳込みの違いについて、小西社長がカタログを元に「これは手作り、これは鋳込み」とパラパラと教えて頂けたんですが、自分は正直違いがよくわかりませんでした。
素直に違いが分かりにくいことをお伝えすると、「信楽焼を取り扱っているものなら簡単に見分けがつきますよ」との事でした。小西社長大変失礼いたしました。
持っているパーツは別で作られている
狸が持っている「表札」や「ひょうたん」などのパーツは、本体とは別で作って後から取り付けて焼かれています。
つまり一体成形ではないということですね。

この辺はどうやって作っているのか、訪問前から気になっていたので、直接お話を聞けて解決できました。
信楽焼は伝統工芸品という要素もありながら、お土産など意外と工業製品としての要素も持ち合わせています。
そのため、業者が発注しやすいようにと、カタログが発刊されていますが、写真が1アングルのものが多いので、こういった実際にどうやってついているのかというのは実物を見たりしないとなかなかわからないですよね。
表札入りの狸は意外と自由度が高い
今回お話を聞いていて面白かったのが、当店でも取り扱っている「表札付き狸」の話。
表札狸20号(号はサイズ表記です)
文字はすべて手書きで対応しているとのこと。
ただし
- 3文字以上は追加費用
- 文字数が多いと文字サイズが小さくなる
などの制約はあるようです。
ここまでは当サイトの掲載情報と同じです。
ただ、もっと深く話を聞くと過去には
- ローマ字を入れたい
- 会社名を入れたい
- 家紋を入れたい
といったオーダーもあったそうです。
家紋に関しては手書きとは異なり、シルクスクリーンを用いた製造方法となるため完全な特注扱いに。
場合によっては狸本体よりも高くなることもあるとのことでした。
もし上記のような仕様もできるのかな?とお考えの方には耳よりな情報かもしれません。
表札狸の高さは約65cm。隣の豊島の身長は171cm。
狸の傘立ては使い方に注意
こちらも当店でお取り扱いしている「狸の傘立てタイプ」についても教えていただきました。
表札狸傘立17号
注意点としては傘を差し込むときの衝撃とのこと。
鋳込みで作られているため、底部の厚みが均一になっており、一点に強い衝撃が加わると破損する可能性があるとのことです。
これは意外と知られていないポイントかもしれません。
表札狸傘立の高さは約52cm。隣の豊島の身長は171cm。
文字を入れることができる表札としての側面もあるので、不特定多数が使用できるような店先に置く場合は、中にゴムなどのクッションを入れておいた方がいいかもしれませんね。
底面は水抜き穴がないので定期的に中にたまった水を捨てて下さい。
たぬきの焼き物は屋外に置いても大丈夫?
これもよくある質問です。
基本的には屋外設置は可能とのこと。
ただし
- 汚れは付く
- 氷点下の環境では破損の可能性あり
という点は注意が必要です。
水分を含んだ状態で凍ると割れる可能性があるため、寒冷地では少し気を付けた方が良さそうです。
特に傘立てタイプの場合は、水が内部に溜まったまま凍ることで膨張し、破損につながるケースもあるとのことでした。
信楽(しがらき)を車で走っていると、たくさんの陶器を販売しているお店がありますが、いずれも店先にたぬきの焼き物が大量に展示兼販売されているので、基本的には屋外に置いて問題はないようです。
ただし、傘部分に穴が開いているタイプは、内部に蜂が巣を作る可能性もあるため、定期的に確認しておいた方が良さそうです。
信楽で実際に狸の置物を見てみると

今回実際に信楽で狸の置物を見せていただいて感じたのは、「思っていた以上に手がかかっている」ということでした。
型を使っているとはいえ、最終的な仕上げは人の手による部分が多く、表情や雰囲気にも個体差があります。
だからこそ、同じように見えても一つ一つに違いがあるのが面白いところです。
信楽焼の狸は、単なる置物というよりも長く使われてきた文化の一つとして捉えた方がしっくりくるかもしれません。
実際に現地で見てみると、その背景や魅力がより伝わってきます。
当店では信楽焼のたぬきを様々な方向から取り上げることで、より魅力をお伝えできるように努めています。
縁起物というだけではなく、実用面も兼ね備えたたぬきの焼き物を一度ご覧ください。
























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