サウナの水風呂に信楽焼浴槽を。高山の「nollfika」で土田さんに話を聞いてきました

サウナの水風呂に信楽焼浴槽を。高山の「nollfika」で土田さんに話を聞いてきました

今回は、岐阜県高山市八日町118でオープン準備が進められている展示場を訪問しました。

お話を伺ったのは、薪ストーブやサウナなどを手掛けるフライングハンディー代表の土田さんです。

展示場で展開されるブランド名は「nollfika(ノルフィカ)」。

訪問した2026年9月17日時点ではまだ造作中。年内、もしくは年明け頃のオープンを目標に準備が進められていました。

そして今回、エクストリムとして一番見たかったのが、サウナ空間に実際に設置された信楽焼の陶器浴槽。

これまで信楽焼浴槽の職人さん、宿泊施設への設置事例、展示会出展などを取材してきましたが、今回は少し違います。

サウナと組み合わせ、水風呂として信楽焼浴槽を使うという提案です。

■本記事はこんな方におすすめ
・信楽焼陶器浴槽を提案する新たな切り口をお考えの方
・サウナの水風呂として空間を印象的に変えるアイテムをお探しの方
土田さんに聞きました

ここからは、展示場「nollfika」で土田さんが目指していることや、サウナと信楽焼浴槽を組み合わせた理由について、実際にお話を伺っていきます。

まずは、この展示場をどのような場所にしていきたいのか、土田さんの考えから聞いてみました。

「サウナって興味あるけど、食わず嫌いの人がいると思うんですよ」

豊島:まず、この展示場はどんな人に来てもらいたいと考えているんですか?

土田さん:
「BtoBもBtoCもどっちもですね。サウナって、やっぱり興味はあるけど、食わず嫌いじゃないですけど、『あんな暑いところ入るなんて』とか『カラカラだし』とかってあるんですよね。女性は特に」

土田さんが考えているのは、最初からサウナが大好きな人だけを集める場所ではありません。

「ここでコーヒーも出せるようにしたいと思ってるんです。何気なくおばちゃんとかが来て、50代、60代、70代でもいいんですけど、『あ、サウナあるんだ』『こんな風に作れるんだ』って見てもらって。一応、体験もできるようにしようと思ってます」

そこで出てきたのが、土田さんのお母さまの話でした。

土田さん:
「うちのおかんが、サウナ全然好きじゃなかったんですけど、僕が商売始めた時に置いたら、『すごい、こんなにいいものとは知らんかった』みたいな感じで。『夜も起きなくなったし』(目が覚めなくなった)みたいなこと言ったんで、そういう人って他にもおるかもしれんなと思って」

もちろん、これはお母さま個人の感想です。

ただ、この話を聞いて「nollfika」が目指している場所が少し分かった気がしました。

サウナを見ることだけを目的にわざわざ訪れる展示場ではなく、

コーヒーを飲みに来た。
そこに薪ストーブやサウナが展示されていたので、興味が出た。

そんな接点を作りたいそうです。

「スーパー銭湯で人がいっぱいおるところが嫌なだけで、一人で自分で入ったら意外といいって人もいるかもしれない。プライベートサウナって、そういうのもあると思うんですよね」

この「食わず嫌いの人にも、まず触れてもらう」という話は印象的でした。

「日本のものづくりとか文化を感じてもらいたい」

さて、今までの話の中でまったく信楽焼浴槽が出てきていません。(笑)

そこで、本題を切り込んでみました。

豊島:今回こちらの展示場に信楽焼浴槽を導入されたとのことですが、この展示場の中で信楽焼浴槽はどのような位置づけですか?

土田さん:
「やっぱりそこは、日本のものづくりとか文化を感じられる浴槽っていうのを、高山に観光で来たお客さんに感じてもらいたいというのが一番大きい理由です」

高山は外国人観光客も多く、周辺では民泊や宿泊施設も増えています。

そうした場所で「日本らしい空間」を作る設備のひとつとして、信楽焼浴槽を見せていきたいとのこと。

一方で、土田さんは現実的です。

「これは個人に売るっていうよりは、よっぽど裕福な人じゃないとなかなか入れようとはならないような気がするんで。やっぱり付加価値じゃないですか」

つまり、一般住宅に大量に売る商品というより、

ホテル、ヴィラ、民泊、サウナ施設などに非日常を作る商品。

そういう見方をされています。

水風呂として使うんですか?

実は取材前、私はひとつ分からないことがありました。

「サウナの横にあるから水風呂として提案できそうだな」とは思っていましたが、土田さん自身が本当に水風呂として考えているのかまでは聞いていませんでした。

そこで現地で確認。

豊島:これ、もちろん普通のお風呂としても使うんですよね?

土田さん:
「もちろんお風呂です。使いますよ」

豊島:水風呂兼浴槽という感じですか?

土田さん:
「そうですね。水風呂がメイン用途ですけどね」

ここでようやく答え合わせ。

ちゃんと水風呂としての信楽焼浴槽が想定されていました。

現地には混合栓も設置されているため、水風呂だけでなく通常の浴槽としても使用できる仕様になっています。

「いやもう、圧倒的に唯一無二な感じはしますよね」

実際の信楽焼浴槽は、黒を基調にした壁と木に囲まれたスペースへ設置されています。

深い緑色の陶器浴槽。

浴槽単体を写真で見るのと、空間に実際に設置された状況では、かなり印象が違います。

豊島:実際にここへ置いてみてどうですか? サウナ空間との相性とか。

土田さん:
「いやもう、圧倒的に唯一無二な感じはしますよね」

さらに、浴槽の縁を見ながら、

「やっぱりラインが直線じゃないんで、ちょっとした凹凸とか。自然の土が原料なんでしょうけど、その具合はやっぱり見てみないと分からない良さがありますね」

そして、

「僕も搬入されて、置いてみて、『やっぱりかっこいいな』って。あれがあったんで、周りの壁も黒くして。せっかく入れるならって」

浴槽に合わせて周囲まで作り込んでいったそうです。

写真映えのためだけに黒くしたわけではありませんが、実際に撮影してみても、黒い壁に信楽焼の深い緑がよく映えます。

商品写真で見ていた浴槽とは、かなり違って見えました。

「ボンって置いてあるだけでも、その世界がすごいじゃないですか」

話しているうちに、信楽焼浴槽を必ずしも浴室の中だけに置く必要はないのでは、という話にもなりました。

土田さん:
「風呂に置いてなくても、ボンって置いてあるだけでも、ただの木の風呂が置いてあるより、その世界がすごいじゃないですか」

「お茶碗とか、日本人に馴染みがあるんで。その存在感はすごい圧倒的やと」

なるほど。

確かに直径1mを超える巨大な「焼き物」がそこにあるだけで、かなりのインパクトです。

豊島からは、信楽焼ミュージアムで見た巨大な抹茶椀が展示されていた話をさせていただきました。

土田さんも、

「おお、みたいな(笑)。オブジェみたいな」

と反応されていました。

実用品でありながら、空間そのものを作るものにもなる。

信楽焼浴槽の面白いところかもしれません。

水風呂なら深い方がいい?浅い方が入りやすい?

続いて気になったのが「深さ」です。

現在展示されている浴槽は深さ約600mm。

豊島:水風呂として考えると、ある程度深い方が身体が包まれる感じもあって良さそうな気もするんですけど。

この話から、500mm、600mmといった深さの違いについて話が広がりました。

さらに土田さんからは、

「陶里の社長が言ってたのは、本当に縦長の深いやつ。立って入れるぐらいの。サウナフリークの人にウケると思うんですよね。」というアイデアも。

サウナ好きの人なら、全国どこへでも気になる施設へ行く。

だったら、立ったまま肩近くまで入るような信楽焼の水風呂があっても面白い。

「それもちょっとサウナの差別化としては面白いですよね。エンターテインメントとして」

一方で、深くなれば当然、出入りしにくくなります。

では手すりをどうするか。

段差を作れないか。

焼成前なら形状そのものに工夫を入れられないか。

話していると次々アイデアが出てきます。

既製品を選ぶだけでなく、焼き物だからこそ用途に合わせて形そのものを考えられる。

これは信楽焼浴槽の新しい可能性かもしれません。

実は大変だった搬入。「窓からユニックで上げました」

信楽焼浴槽の魅力だけでなく、今回どうしても聞きたかったのが施工の話です。

大型の陶器浴槽は重い。

以前からエクストリムにも、

「2階に設置できますか?」

「どうやって運ぶんですか?」

という問い合わせがあります。

今回の展示浴槽も2階に設置されていました。

豊島:あれ、どうやって2階まで入れたんですか?

土田さん:
「リフォームで設置したので、浴槽を置く部分は床はだいぶ補強してもらって。搬入は、あそこの窓を開けて、ユニックで上げました。上げてからが大変で、縦に転がしながら倒さないように気を付けながら毛布を巻いて移動しました。」

豊島:移動はやっぱり4人くらい必要ですか?

土田さん:
「3人くらいでいけますよ。まぁちょっとずりずりするぐらいは2人でもできますよ。でもやっぱり傷をつけずにしようと思うと、神経を使いますね。(陶器なので)バーンってなったら終わりですからね…」

さらに想定外だったのが排水。

土田さん:
「排水金具が思ったより大きいんですよね。今回浴槽の下に下駄をはかせてエルボで配管して排水に接続しています。」

リフォームということもあるので、浴槽の排水部分と建物側の排水の位置が合わない場合は、接続するための配管が必要になります。

床上で接続する場合は、配管を横引きすることに。浴槽の高さを上げると、浴槽まわりと浴室内で床の高さが変わります。

今回の展示場では、浴槽の周囲にステップを設置し、配管に接続していない溢れた水については、浴室床に勾配を付けることで水を排水できるように設定しています。

シャワーも付いているので、この排水も同じ場所に集まるようになっています。

土田さん:
「事前打ち合わせが必要やし、新築でも、あるところに置くとレベル違っちゃったり。じゃあ周りをすのこで上げるのかとか、そういう話も必要になってきます」

きれいに完成した浴室だけを見ると分かりません。

でも浴槽の下を覗けば、そこには配管があり、下地があり、重量物を支えるための構造があります。

「薪ストーブ、200キロとかありますから」

それにしても、150kgを超えるような陶器浴槽を扱うのは大変そうです。

そう話すと、

土田さん:
「僕ら薪ストーブいつも搬入してるんで」

豊島:薪ストーブも結構重いんですか?

土田さん:
「めちゃくちゃ重いです。鉄の塊で200キロとかありますから」

なるほど(笑)。

重量物を扱うのは、もともと日常だったわけです。

とはいえ、陶器浴槽は単純に重いだけではありません。

「図体がでかくて持ちにくいんで大変ですけど、薪ストーブも意外と重いし、仕上がった新築の家にも搬入するんで、怖いですね」

重量、搬入経路、床、排水。

信楽焼浴槽は、商品だけ販売すれば終わりではないことがよく分かります。

「実績ないことには、何も語れないですし」

今後について聞くと、土田さんは民泊、ヴィラ、宿泊施設などへの提案を考えているとのこと。

また、展示場を工務店にも開放し、工務店がお客様を連れて商品を確認できるような、メーカーショールームに近い立ち位置にするのも面白そうだという話も出ていました。

そして、サウナをはじめ信楽焼浴槽も商品の提供だけではなく施工までフォローできることが重要だと話します。

土田さん:
「工事が大変じゃないですか。だから、しっかりそういうところまでのフォローも、必要あればできますよっていうのがポイントですよね」

最近は岩手、別府、京都、千葉など遠方にも足を運んでいるそうです。

豊島:もう全国飛び回ってる感じですね(笑)

土田さん:
「岩手行って帰ってきて、別府行って……恐ろしい距離で(笑)」

そして、少し印象に残った言葉がありました。

「やっぱり実績ないことには何も語れないですし。普段つながらんお客さんに納めさせてもらってるんで。今は実績作りと思って、それをこっから発信していけるようにしたいなっていうのが一番」

これはエクストリムが取材記事を作っている理由ともかなり近い考え方です。

現場で経験したことを残しておく。

それを次に検討する人が見つける。

少しずつ実績が積み重なっていく。

今回の記事も、そのひとつになればと思います。

「nollfika」は、売るためだけの展示場にしたくない

最後に「nollfika」という名前についても聞きました。

土田さん:
「スウェーデン語で“fika(フィーカ)”っていう、コーヒータイムをみんなで楽しむ文化があるんです」

薪ストーブもサウナも、生活するために絶対必要なものではありません。

土田さん自身、

「サウナとストーブって、贅沢品じゃないですか、はっきり言って。火を入れたりとか、サウナで汗かいて。別にお風呂でいいし、みたいな中で」

と話します。

でも、

「人生でリラックスできる時間を過ごすという意味では、そういう商品で、空間もそうですよね」

そこに信楽焼浴槽があったり、薪ストーブがあったり、サウナがあったり。

将来的には、生活を少し豊かにするさまざまなアイテムを提案できる場所にしたいそうです。

売るものが決まっていて、それを買うためだけに行くショールームではない。

コーヒーを飲みに来てもいい。

薪ストーブを見てもいい。

サウナをちょっと体験してもいい。

そこで初めて信楽焼浴槽を見て、

「何これ?」

となるかもしれない。

そんな場所になれば面白そうです。

信楽焼浴槽の「違う売り方」が見えた取材でした

今回の取材で感じたのは、信楽焼浴槽を単に「高級なお風呂」として見せるだけでは、もったいないということです。

サウナの水風呂として使う。

宿泊施設の付加価値にする。

日本らしい焼き物として外国人観光客に見せる。

あるいは、空間に置くだけでも強い存在感を出す。

さらに形や深さまで用途に合わせて考えれば、まだ新しい使い方がありそうです。

そして何より、今回実際の空間に置かれた浴槽を見て、

「単体で浴槽を見るのと、空間に置いた浴槽を見るのはやっぱり違う」

と改めて感じました。

土田さんが搬入後に感じた、

「やっぱりかっこいいな」

という一言が、この浴槽の魅力を一番シンプルに表しているのかもしれません。

「nollfika」はまだ完成途中。

ガレージ部分にはピザ窯を置いたり、羽釜を置いたりするそうです。…まだまだ夢の空間づくりは終わりません。

次に訪れる頃には、今回とはまた違う空間になっているはずです。

その時には、実際にどんな方が訪れ、信楽焼の水風呂を見てどんな反応をするのか。

また話を聞いてみたいと思います。

今回お話を伺った方

フライングハンディー 代表 土田様

nollfikaを準備するフライングハンディー代表の土田さん

岐阜県高山市を拠点に、薪ストーブやサウナなどを取り扱い、重量物の搬入・施工にも対応。
現在、岐阜県高山市八日町118にて、新ブランド「nollfika(ノルフィカ)」の展示場オープンに向けて準備を進められています。

※本記事は、deco株式会社様の取材協力のもと、フライングハンディー土田様にお話を伺い作成しています。

信楽焼浴槽の商品ラインナップはこちら

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